分譲マンションにおける空き家問題とは?

基本知識

日本が直面している深刻な空き家問題。その中でも、特に都市部や地方都市で目立つのが「分譲マンションにおける空き家」の増加です。実家や親族のマンションを将来相続することになったら、あなたはどうしますか?
このサイトでは、単なる相続対策や税金の話だけでなく、「分譲マンションが空き家になると、どんなリスク・費用があるのか」、「今後どのような選択肢があるのか」等を、社会的背景も踏まえて詳しく解説します。また、既存の情報サイトとは異なり、「リアルな体験談」や「再現性のある活用事例」も交えて、多角的に分譲マンション空き家問題を掘り下げていきます。

空き家マンション問題の現状

空き家総数の中で「空き家マンション」が占める割合

「空き家問題」と聞くと、地方にある古い戸建て住宅を想像するでしょうか。実際、こうした物件は年月の経過とともに目立つようになり、地域の景観や防犯面にも悪影響を及ぼしています。

しかし、意外なことに近年注目されているのが「分譲マンションの空き家化」です。
総務省が発表した2023年の住宅・土地統計調査によると、日本全国の空き家総数は約900万戸。そのうち、マンションやアパートといった集合住宅の一室としてカウントされる空き家が、ざっと500万戸を超えると推計されています。これは全空き家の半数以上に相当する規模です。

これは「マンション1棟全体が空き家」なのではなく、1棟のマンションのなかの各住戸単位で「空き家」となってる部屋を合計した数字です。したがって、外からは分かりにくく、まさに「見えない空き家問題」とも言えるでしょう。

 なぜ空き家マンションが増え続けているのか?

分譲マンションは、その昔「夢のマイホーム」として脚光を浴び、一時は新規供給が盛んに行われてきました。しかし、近年では以下のように要因が複合的に重なり合い、空き家化が進行しています。

(1)人口構造の変化

日本は世界屈指の高齢社会です。特に都市部の大規模マンションでは、入居者が高齢化し、施設への転居や死亡による「抜け」が次々と発生しています。
彼らが残した「親のマンション」を子世代が相続するケースが増加していますが、実際には「利用予定がない」「遠方に住んでいる」などの理由から、そのまま空き家化してしまう事例が後を絶ちません。

(2)住宅市場の“買い手市場”化

首都圏や大都市でさえも、新築マンションの大量供給が重なり、相対的に中古分譲マンションへの需要が下がり始めています。地方や郊外のマンションは特に売却しづらく、「売りたくても買い手がみつからない」という典型的な“負動産化”が見られます。

(3)マンション固有の課題

後段で詳述しますが、分譲マンションには管理費・修繕積立金などのランニングコスト、管理組合との関係など、戸建て住宅とは全く異なる独自の維持・運用ルールがあります。このような“しばり”を負担に感じる方は多く、相続・売却の大きな障壁となっています。

(4)住居志向やライフスタイルの変化

近年は持ち家よりも、都心のコンパクトな賃貸やタワーマンションなどへの志向のシフトもみられます。またコロナ禍によるテレワークの広がりで、都心への通勤を前提としないライフスタイルも普及しました。こうした社会の変化が、中古マンションが選好されにくい傾向に拍車をかけているのです。

空き家マンションが生む問題と社会的影響

資産から「負動産」へ——所有者が背負う現実

長らく「分譲マンションに住めば将来は資産になる」と信じられてきました。しかし、空き家となったとたん、毎月のコスト・管理責任・相続税などを生じさせる、いわゆる「負動産」と化してしまう現実に直面する方が増えています。

特に築30年以上のマンションでは、資産価値そのものが大幅に下落しているケースもあり、売却や賃貸に出しても採算がとれず、逆に固定資産税+管理費等の「出費だけ」が残るという地獄に陥ることも珍しくありません。

さらに深刻なのは、マンションの管理責任からは逃れられないこと。
共用部分(エントランスや廊下、外壁、エレベーター等)の保全義務、修繕積立金の徴収負担は所有者全員に平等に課せられ続けます。
このため、「誰も使わない実家のマンション」が親族の重荷となり、最悪の場合、相続放棄すら検討される事例も増えています。

管理不全という副次的リスク

空き家化した分譲マンションには、さらに深刻な社会的リスクも伴います。

(1)管理組合活動の機能不全

マンションでは通常、管理組合という住民による自治組織が毎月の運営を担っていますが、空き家化により所有者が不明であったり、連絡が取れなかったりする場合、会計や意思決定、修繕工事の実施などに支障が出ます。
その結果、適切な修理がされず、「ゴミ置き場が荒れる」「エレベーターが故障しても放置」など、マンション全体の居住性、ひいては資産価値が低下する悪循環が始まります。

(2)管理費・修繕積立金の未納問題

空き家となった住戸でも、所有者には毎月の管理費・修繕積立金の支払い義務があります。
しかし、支払いを怠る人が増えれば管理組合の運営資金が減り、全体のマンション管理そのものが不可能になる恐れもあります。
ひどい場合は「管理会社が撤退」「住民間で訴訟沙汰」といった事態にまで発展し、結果的に“スラムマンション化”する事例も報告されています。

「相続」をきっかけに現役世代が直面する課題

「親のマンションをどうするか」は他人事ではない

今後、40代・50代の現役世代が、親の所有する分譲マンションを相続するケースが多発する時代が本格到来します。
「親のマンション=資産」と捉えてきた時代は終わりを迎え、相続したはいいものの、

「空き家マンションをどのようにすればいいかわからない」「コストばかりが発生し、所有するメリットがない」

といった悩みを抱える方が一気に増えると予想されます。

  • 相続税はいくらか?
  • 固定資産税や管理費・修繕積立金など、どのくらいのコストがかかるのか?
  • 相続放棄や売却は現実的なのか?それに要する手間や期間は?
  • 賃貸に出すことはできるのか?

といった、生々しい懸念が現実のものとなっています。

空き家マンションを「負動産」にさせないために

これまで述べてきたように、分譲マンションの空き家問題は一部の所有者だけでなく、地域・社会全体に波及する現代的な課題です。
また、事前に準備をせずに親のマンションを相続すると、その瞬間から「不安」「出費」「管理責任」という現実に直面し、暗い将来を引き起こしかねません。

しかし、正しい現状把握と情報収集があれば、リスクが最小限に抑えられ、資産としての活用の可能性も広がります。
このサイトでは、マンションを相続したときに生じる費用や法的責任、成功・失敗の事例など、知っておくと役に立つ情報を詳しく解説していきます。

股抜きナツメグ

40代の男性会社員。都内で親のマンションを相続したことをきっかけに、相続マンションを取り巻く複雑怪奇な問題に直面。今後起こり得る事態への不安や、売却や賃貸といった判断の難しさに悩まされた経験から、本サイトでの情報発信を開始。

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